まずはやはりここの記録から。
初めて「アウシュヴィッツには行くべきなのかもしれない」ということを意識したのは2005年1月27日だったと思います。イギリスに住んでいた時、ちょうど解放60年の記念式典をずっとBBCで中継していました。これほどまでに『アウシュヴィッツ』がヨーロッパでは重要性・当事者性を持つということ、ライブでは初めて目にする、雪が降りしきるビルケナウの荒涼とした風景、そして世界中からこれだけ多くの人がこの場所を記憶するために集っている事実が強烈な印象を残しました。
しかし、それと同時に降りしきる重たげな雪とあまりにも寒々しい景色に怯んでしまったのも事実。その数年前の冬にダッハウに行って恐ろしい思いをしたこともあり、むしろ気が引けてしまったのです。「遠すぎる」という思い込みもありました。
で、2016年の2月。映画「サウルの息子」を観て、今度は「アウシュヴィッツには行かなければならない」と思いました。これはもう決定事項、でした。
ロンドンから3泊4日でクラクフへ行き、クラクフから日帰りで行く計画でプラン。
アウシュヴィッツ博物館は基本無料ですが、夏季(4~10月)は、10時~15時までの時間、ガイドツアー以外で入場することができませんので、公式サイトから予約をしました。通常のツアーは3.5時間、スタディツアーは6時間。スタディツアーは朝も早く(英語は9時)、通常ツアーでそのあと自力で回ることも考えたのですが、色々調べたところ普通の見学者は入れないところに入れてもらえたりすると聞き、こちらを選択しました。
(ちなみに、ガイドは基本ポーランド人なのでわかりやすくしゃべってくれますが、どうしても言葉に自信がない方は日本人ガイドの中谷さんをお手配された方が良いと思います。また、上記の時間を避ければ個人で自由見学することも可能ですが、少なくとも3.5時間はツアーに参加する方をお勧めします。アウシュヴィッツIは個々のバラックが展示となっており、ガイドブックを見ながら回ればさほど情報を取り漏れることもありませんが、広大な敷地で解説も多くないビルケナウではガイドがあったほうがよいです)
クラクフの旧駅舎 |
クラクフのバスターミナルは英語サイトがあり、時刻表を確認できます。バスターミナルはクラクフ鉄道駅の裏手にあります。オシフィエンチム・ミュージアム行きはミニバス(G. T. TRANS社)と普通のバス(LAIKONIK社)があり、乗り場も違うので注意が必要。行きはミニバスに乗ったのですが、帰りに乗った後者が普通の観光バスで快適でした。チケットはターミナルでも買えますが運転手からも買えます。往復料金もありますが、帰りどちらのバスがタイミング合うかわからないので、片道ずつがよいと思います。
博物館の入り口前に立つメモリアル |
私は朝7時のバスに乗りました。行きがけにポンチキ(ポーランドのドーナツ)とコーヒーを買って、チケットを確保してバスを待っていると、観光タクシーのおじさんが「アウシュヴィッツ?」と聞いて来ます。やはりメジャーな「観光地」のようです。
路線バスでもあるミニバスは、通学の高校生なども途中で乗り降りしながら、いくつかの停留所に止まりつつ1時間半ほどでミュージアムの前に到着します。
ポーランドはこの前日までかなりの夏日で30度以上あったのですが、この日は爽やかな陽気でした。木々に囲まれた入り口前のメモリアルの静かな佇まいの美しさに、感動と強烈な違和感を覚えます。 (続