18世紀の門をくぐって、大要塞の方へ戻ります。
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ベビーカーを押した女性が散歩していた |
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街の中心にある教会 |
朝着いたバス停は街の中心の公園沿いにあり、その近くに「ゲットー博物館」があります。この大要塞の中のテレジンの街が丸ごと壁に囲われたゲットーとなりました。もともと7000人ほどの住人と軍人が住んでいた小さな街に、1941年から45年の間に計155,000人のユダヤ人が収容され、35,000人がこのゲットーで、83,000人が移送された強制収容所・絶滅収容所で亡くなったと言われています。
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テレジアンイエローが美しい18世紀の建物 |
ゲットー博物館は元は少年たちが収容されていた「男の子の家」でした。
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ヨーロッパ各地からユダヤ人がテレジンに送られたことを示す地図 |
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ゲットーの模型 |
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テレジンには多くの子供達が送られ,たくさんの絵を残した |
テレジンでは子供達を集めた教育が行われ、子供達が残した約4000枚の絵が解放後見つかりました。絵はプラハのユダヤ博物館が所蔵していて、プラハで見ることができましたが、ここにも多くのレプリカが展示されています。子供らしいのびのびとした絵もあれば、胸をえぐられるような「ゲットーの日常」が描かれたものも。
子供達の絵はこちらで一部見られます。
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中庭には子供のメモリアル |
博物館の中庭には小さな記念プラークがありました。ゲットーの教師だったフレディ・ヒルシュのものです。彼は人望が厚いリーダーでしたが、1943年に5000人(子供300人)の移送とともにアウシュヴィッツに送られます。ビルケナウの「家族収容所」で子供達のブロック長となった彼は、家族収容所の全員がガス室送りになるということをゾンダーコマンドーから密かに知らされます。反乱を持ちかけられた彼はその後精神安定剤の過剰服薬を起こし、意識不明のままガス室に送られました。自殺かどうかは明らかにはなっていません。
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フレディ・ヒルシュ |
博物館から広場を挟んだ反対側にあるのがマグデブルク・バラック、文字通りかつて兵舎だった建物です。ここには長老会などゲットーの自治組織が置かれていました。また大きな建物だったため、集会や文化イベントなどにも使われていたようです。
館内にはゲットー内の暮らしの様子が再現されています。ぎゅうぎゅうの寝棚に所持品が詰め込まれている様子。
形ばかりの自治体であったゲットーの中で、劇場などの娯楽や文化も生み出されていました。テレジンで生まれた娯楽やアート,文学なども紹介されています。
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ありもので作った芝居の衣装 |
しかし、1943-44年の赤十字の訪問に合わせてテレジンが「理想のゲットー」として仕立てられ、ナチのプロパガンダに利用されたということ、これらの活動もその一部であったことは指摘しておかねばなりません。
この建物ではそのプロパガンダフィルムも上映されていました。その一部を下に貼ります。(フットボールの試合)
バラックを出て要塞の外郭近くへ向かいます。
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ここでもテレジアンイエロー |
町外れにはユダヤ人たちを各地から移送して来て、また死のキャンプへと移送していった鉄道の線路が残されています。
この洞窟のような建物は葬儀場兼死体置き場だったもの。
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ユダヤ系のキリスト教徒も送られていたためキリスト教のホールも用意されていた |
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中は広い |
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車に乗せて引きやすくなっている |
安置所の向かいには、火葬された遺灰を納める納骨堂。これも要塞の遺構を使っていて洞窟のような構造になっています。
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再現。物資不足のため、最後は紙の箱に遺灰を納めていたという |
これらの施設の近くから城郭の外に出たところに火葬場と墓地があります。
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鳥が鳴く実にのどかな雰囲気 |
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火葬場の建物 |
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移葬されたユダヤ人の墓地。その墓石の数に圧倒される |
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ソヴィエト兵士の墓地。 |
その後街の中に戻り,地図を頼りに礼拝堂を探したのですが、それらしきところがなかなか見つからず、ようやく見つけたところ扉が閉まっていました。
が、ちょうどそこへ見学と思しきキッパーをかぶったユダヤ系の方が何人か車でやって来て、一緒に入れていただくことができました。
一見普通の民家の中庭にユダヤ教の礼拝所が作られていました。この天井の塗装は当時のままなのだそうです。
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当時のままの装飾が残る礼拝堂 |
そしてその屋根裏に、やはり当時のままの小部屋が残っていたのが近年見つかったとかで、当時の暮らしを再現した展示が行われています。いかに狭い空間に人が詰め込まれていたかがわかります。
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狭い台所 |
街の中心部に戻り、バスを待ちます。このような歴史を持つ街ですが、今でもその中に普通に人が暮らしていて生活があります。なんとも言えない気分でした。
帰りに車窓から見えた菜の花畑が明るく美しく、印象的でした(写真はブレましたけど…)
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