2019年5月8日水曜日

ハダマー 1

(昨年のテレジン訪問がまだ書けていないのですが、先にこちらを書きます…)
ここ何年か、続けて東欧のホロコースト遺構を訪ねてきましたが、今年は色々思うところあり、ナチスによる障害者虐殺計画「T4作戦」の遺構であるハダマーを訪れました。最初はオーストリアのハルトハイム城を検討していたのですが、ハダマーのほうがアクセスが便利だったこと、ドイツ国内であったということなどからこちらに行くことにしました。
決めてみると色々と引き寄せるもので、2月にはきょうされんの主催でT4作戦のパネル展が開かれ、実際にハダマーに行かれた藤井克徳さんのお話を聞くこともできました。

ご覧になっている方も多いと思いますが藤井さんのハダマー訪問を同行取材したNHKのドキュメンタリーを貼っておきます。T4作戦についてはこちらをご覧いただければと思います。



ハダマーはフランクフルトと同じヘッセン州にあり、フランクフルトから一度乗り換えで2時間かからないところにあります。その途上にもうひとつイトシュタインという町があり、ハダマーへの移送の中継点となるとともに、子供たちを中心にここでも虐殺が行われていたことがわかったので、2都市を回る計画を立てました。

ハダマーへはリンブルクという都市までRE(Reginalexpress)で行ってバスかローカル列車に乗り換えなのですが、午前中の接続がうまくないようなので、先にIdsteinへ寄ってからリンブルク経由でハダマーに行く予定でした。ところが朝フランクフルト中央駅へ行ってみると何やらおかしな表示が…!
私の乏しいドイツ語力と通りすがりの女性の助力で、とにかくこの列車は出ないのでSバーン(フランクフルトの近郊線)に乗るしかないようだということはわかったのですが、Sバーンだとどれに乗っても途中までしか行かない…
DBのサイトを改めて確認してみるとどうやら線路上に倒木があるためその区間が運休になっているようで、Idsteinの一駅前まで行くS2も途中折り返しになっていることが途中でわかり、仕方なくS1でWiesbadenまで行ってLimburg行きのバスに乗り換え、何よりも主目的のハダマーに行くことにしました。
なお、切符はハダマーまでの区間で「一日券」というものを購入し、これがRMV(ライン=マイン交通)の該当区間内乗り放題になるものでしたので切符の点では問題ありませんでした(片道x2より安い)。

予定の列車の時刻から3時間半かかってハダマーに到着。

リンブルクから出る列車。なんと一両で単線。

駅舎もない田舎の駅といった風情
線路脇の川沿いの道を歩くと右手に美しい城が見えてきます。川を背に左に曲がり線路をくぐって坂を登っていったところにハダマーの精神病院があります。(ちなみに、バスで来ると城の向こう側の街の中心に着きますので、城の裏手に回れば川に出ます)

ハダマー城

エルブ川が街を流れる
坂の途中に、古い石積みの建物があり、これは古そうだと思っているとなんと馬がいました。19世紀からあるもののようです。この建物は坂を登って行くバスや丘の上の煙をずっと見てきたのか…
19世紀の古い厩舎

丘の上に建つ病院のメイン棟
この施設は現在でも病院として使用されているため、私が着いた時もちょうど車椅子の方が建物から出てきていました。建物は複数ありますが、メモリアルとなっているのはこの5 Hausで、"Gedenkstätte(=Memorial) HADAMAR"の看板が出ていますのですぐわかると思います。
入口を入ると壁に記念のレリーフがあります。


事務室に声をかけると、展示や地下室の行き方を教えてくれます。場内の展示は全てドイツ語のみですが、英語のリーフレットと、パネル展示のテキストを英語訳した冊子を貸してくれます。この冊子は3ユーロで購入可能。もちろん購入しました。
英語版の冊子


ここでは様々なワークショップ等も行われているようで、T4にまつわる絵画なども廊下に展示されています。

まずは展示室へ。優生学の勃興から断種法、そしてT4作戦へという歴史的流れをたどって説明しています。
若い女性のグループが見学をしていました
プロパガンダ映画のポスター
展示の最後には犠牲者の名前を記した本が


それぞれに人生があり名前があった人々…
グループがずっと説明を受けていたので、それより先にと思い、展示は後に回して先に地下室へ降りることにしました。


トイレの隣でとてもわかりにくくなっているのですが、Historischer Kellerと書かれているドアを開けます(この程度のドイツ語は理解できてよかった)。

(続く)

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